後期高齢者を生きる=回想(1)『崖っぷち親子家計』

『崖っぷち親子家計』、何とも凄まじいタイトルですが、これは、私が2007年6月27日に当時JR田町駅近くの「女性と仕事の未来館」のライブラリーで手にした「日経ビジネス」の特集記事のタイトルです。そして、後に続くサブタイトルは「ボーナス増でも喜べぬワケ」でした。

 

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この特集記事で私が衝撃を受けたのは次の2点です

 

1.30代の世帯の約4分の1が親から何らかの援助を受けていた事で、その代表的な例として次の二つが挙げられていました。

 

(例1)一部上場企業に勤務する39歳の中間管理職男性の世帯。

この例の男性の年収は570万円で、パートの妻の年収80万円と合わせて650万円(当時の30代の世帯平均年収は657万円)になるが、二人の子供の教育費が重くのしかかり近くに住む親から毎月2万円の援助を受けている。

 

(例2)36歳の運送会社勤務の男性の世帯。

この例の男性とパート勤務の妻の収入を合わせた月収は24万円で、63歳の母親のパート給料15万円に父親の年金7万円を合算して住宅ローンを返済する事がやっと可能な状態であったが、収入の柱であった母親が脳梗塞で倒れて要介護状態に陥った。

 

2.あるシンクタンクの調査結果によると、平均的な65歳以上の世帯では、毎月4万5千円の不足分の他に年間の臨時支出30万円を預貯金から取り崩しており、余命20年として1680万円の蓄えが必要になるが、家計実態を見る限り、65歳以上の世帯の半数が底をつく可能性があると指摘している。

 

強調しておきたいのは、この状態は2008年のリーマンショックに見舞われる前の事だと云うことです。

 

このところ、「老後の生活費は2千万円不足する」とした金融庁の報告書で国会も世間も大騒ぎですが、2007年時点で既に深刻な実態は進行していたのですから、私としては、今更大騒ぎするよりも現実に立脚した対策に一日も早く着手してほしいと思います。

 

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当時JR田町駅近くにあった「女性と仕事の未来館