閑居の窓から=高学歴と低賃金

今から15年ほど前になるが、私は定年退職直後に「定年記念」と称してハーバード大学サマースクールの英語プログラムに参加した。 

還暦を迎えて、体力・集中力・記憶力の衰えを著しく痛感する私が、世界から集まったやる気満々の子どもや孫に近い世代と机を並べて学習するのは本当に大変だったが、今から思えば宝石のような体験だったといえる。

 

さて、無事に大学から修了書を得て帰国後3ヶ月を経た頃、同じカークランドハウスで寮生活をした女性3人で会食をすることになった。 

3人のうち私ともう一人の女性の英語レベルは5段階の下から2番目のBランク、もう一人の女性は最上位のEランクで、私達からすれば遙かに見上げる存在であった。 

ところが会食が進むうちに見えてきたことは、30歳前後と見えるEランクの女性は大学院を卒業しているにも拘わらず、教員の仕事も企業の正社員の仕事も見つからず、低賃金で将来の不安定な大学の非常勤講師に甘んじているという厳しい現実だった。

 

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