定年退職後の2005年頃は時々資産運用セミナーに足を運んだ。通常は、当時私が口座を開設していた外資系銀行が主催するもので、その銀行が取り扱っている金融商品の中から海外の投資信託会社のアナリストを招いて、投資対象国の経済情勢と投資家のリスク許容度に応じた投資信託の説明であった。
その他には、東京証券取引所が個人株主の拡大を狙って催すセミナーで、サラリーマンやOLを対象に、初心者向け、中級者向けといった具合に、経験や知識のレベルに合わせて催したもので、当時の私は無料の「東京証券取引所メールマガジン」の購読者であったので、メールで送られる投資セミナー案内から選んで参加していた。
それらのセミナーに参加して気づいたことは、海外の投資信託商品がテーマの場合は、定年を間近に控えた団塊の世代の夫婦連れが多く、彼らの表情からは、年金支給開始時の繰下げに伴う定年後の経済基盤を安定させるために、退職金を少しでも有利に運用したいとの意向が読み取れた。
また、証券会社が主催する株式投資や債券投資のセミナーでは、年代を問わず働く女性の参加が目立ち、将来の年金制度への不安、仕事の先行きの不安などから、金利の低い銀行預金ではなく、株や債券へ投資してお金に稼いで貰うことで、老後生活に備えたいという意識が彼女達から感じられた。
そんな中で特に印象に残っているのは、ドイツ企業が日本の個人株主の獲得を目的とした、ドイツ商工会議所と東京証券取引所が共催した投資家向け説明会で、ドイツ銀行、フォルクスワーゲン、シーメンス、ダイムラーベンツといった錚々たる企業の幹部が、それぞれの成長目標を掲げた方針を投資家に説明したもので、当時のドイツ企業がポーランド、ハンガリー、チェコなどの東欧進出に焦点を充てていることが分かった。
また、私にとっては、ドイツなまり英語のヒアリングの練習にもなった。
左は参加者に配布されたドイツ銀行提供の小銭入れ・メモパッド・西洋風仁丹の3店セット、右はフォルクスワーゲン社提供のゴルフボール
あれから15年、この3年後の2008年に世界経済を襲ったリーマンショックで壊滅的な打撃を受けたドイツ銀行は今もリストラの真っ最中、その他の企業も含めてドイツ経済そのものが思わしくないようだ。