閑居の窓から=路線バスの光景(2)高級住宅地の買物難民

最近とみに注目をあつめるようになった「買物難民」という言葉、主として郊外や地方の高齢者を指して使われることが多いが、路線バスに乗るようになって都心の高級住宅地の高齢者が買物難民的状況におかれていることが見えてきた。

 

五反田駅から品川駅高輪口に向かうバスで、東五反田あるいは御殿山の停留所からカートを引き摺りながら苦労してバスの昇降ステップを上り下りする高齢者をよくみかける。

島津山、御殿山、高輪台といった都内でも屈指の高級住宅地を抱えるこの辺りに徒歩圏で日用品を調達できるスーパーは見当たらない。大半の人が品川駅や五反田駅に隣接するスーパーまでバスで買物にゆくしかない。

 

バスの窓から外を見ると、高台からカートを押してバス停を目指して降りてくる高齢者を見かける。カートに入るのはせいぜい大根1本、牛乳パック1本と幾つかの野菜や惣菜位で、カートを押す高齢者の体力を考えると一度の買物で運べる品数も限られている。 

ましてや、雨や風の強い日に屋根や囲いのないバス停で、さらに交通ラッシュ時の場合はいつ到着するかわからないバスを待ちながら買物に出かける心身の負担はいかばかりか。

 

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